キリリクイラスト。頂いたお題は『仲良さそうな星矢とサガ』
トップ絵に使用しました。
キリリクイラスト。頂いたお題は『仲良さそうな星矢とサガ』
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冬の夕暮れはあっと言う間に訪れて、逃げるように去って行く。 その速度に合わせるように、星矢は城戸邸に向けて足早に歩を進めていた。 冷え切った風が身にしみる。少しでも近道をしようと、公園を横切ることにした。 オレンジ色に染まった遊び場には既に子供らの遊ぶ姿もなく、かすかに揺れるブランコが嬌声の残滓を軋ませるだけである。その乾いた音が余計に寒さを誘った。 「寒い……。だーーー！！何だってこう寒いんだよ！」 無性に理不尽な怒りが湧いて、思わず足を止め空に向かって独りごちてしまう。 足下にひゅうと風が吹いた。ああ、空気だけじゃなくて、こんな独り言をいう俺も寒いな……と自分にあきれる。 「空に文句を言って癇の虫が治まるのか？」 不意にずしり、と背中にのし掛かって来た重さがあった。 「それとも、おまえが文句を言いたい相手が空の上に住んでいるのか？」 笑うような声音を耳元で聞いて、ますます不機嫌になる。 「……うるさい。独り言にわざわざツッコミを入れるな」 「久しぶりに会いに来た友人に、うるさいはないだろう。相変わらず礼儀とか愛想とかには縁のない生き方をしているのだな」 当たり前だ、そんな悠長なことを考えて人生を生きる隙があるものか。更にどうでもいいアドバイスが続く。 「そんなことでは良い大人になれないぞ。もう少し思いやりのある物言いをするようにしたまえ」 相変わらずはおまえの方だ、と星矢は思う。 思いもしない場所に現れていきなり長々説教口調とは。むかっとする腹の底で、もしかしたらこの寒さも自分の不機嫌もみんなこの男が連れてきたのかと考えた。 |